2019年9月14日 - 80

死について

この頃生物学の本を幾つか読んだ。

1.われわれはなぜ死ぬのか(https://www.amazon.co.jp/dp/4480426515)

2.永遠のなかに生きる(https://www.amazon.co.jp/dp/408746461X)

3.オスは生きてるムダなのか(https://www.amazon.co.jp/dp/404703469X)

4.死の起源―遺伝子からの問いかけ(https://www.amazon.co.jp/dp/402259778X)

1と2は作者が同じなので語っているのは同じような話だったが、4つざざっと読んだ印象だと、性の発生がある意味では死の起源であり、性と死というふたつの事象の組み合わせによって、生命は恒続的だか飛躍的だかに展開できるようになった、というような事が書いてあったように思う。俺はこういうまとめ方は基本雑なので(大雑把かつ記憶力がアレなので)、色々違っていたらすんません。

まあなんか、改めて、生って何しているのかなあと思った。性と死という具体的な出来事ではなく、もっとざっくり分裂や増殖と滅びと言ってしまうと、そのあわいにある状態が生なのかなあ、とか。あるいは生命というのは、おそらく当然ながら生にまつわるアクションに対してのみの呼称ではなく、増殖にまつわるアクションや滅びにまつわるアクションも含めた、総体的かつ、閉ざした姿では語れないアクション群/事物への呼称なのかもな、とか。

それとまた、4の8章が「有限による無限」というタイトルだったが、個人的には生命というのはそのようなものなのかとも思う。俺からすると無限というよりも無際限なのだが、有限のものを使って、無限/無際限を描き出そうとしているのが生命であるようにも思えるという話だ。

まあこの辺り、ゆるやかに追っかけていきます。生や、生命が、どういった事をしているのか、というのは自分としては分かりたいと思っているので。


正直、どの本も良かったが、ひとまず4の8章からざっくり抜粋。俺の好みの抜粋の仕方をするので、作者の意図とは違う面が出るかもしれない。

A.性と死は同じような時期に、関連付いて、二倍体細胞生物に組み込まれた。

B.生命の能力は、自己増殖、自己組織、自己消去の3つである。

C.この自己消去、つまり死によって、生命は有限さと無限さの双方を得た。

D.遺伝子は、環境とは無関係に、個体の生と性と死を介して変成を繰り返す。その繰り返しのなかで、生命はカオスとコスモスを行き来している。

E.遺伝子を共有し、有性生殖をする生命体はすべて、回帰しえない環を描きながら、生と死によって変化している。このダイナミズムが生命ではないのか。個体の有限性に比して、このダイナミズムは無限性を帯びているのかもしれない。

F.生物は一代限りの旅人であり、遺伝子は目的ももたず、そこを住処として永遠に移り住むものかもしれない。

G.遺伝子からすると、死は永遠の眠りではなく、新たな個体というまた別の夢の構築をはぐくんでいくプロセス、夢を見る期間のようなプロセスかもしれない。それは一つの破壊と創造のプロセスなのかもしれない。


1のこの文章も良かった。

生命の歴史についてはよく語られるが、死の歴史については、これまでほとんど語られてこなかった。けれども、地球上に生命が誕生してこの方、生き残ってきた生物はごく一部であり、山をなす死体のなかの一条のいのちの流れに過ぎない。


ところで具体的な書き方は忘れたが、ベイトソンが夢について「別の夢の審級を経ない夢を狂気というのだ」というような事を書いていたのを思い出した。少しつながりがあるのかもしれないし、ないのかもしれない。ただ、システミックな審級を経ない無際限さへの欲求というのは、暴走に繋がることもあるだろうな、とも思う。とはいえ実際には暴走していない状態などなく、ただ無数の暴走同士が、互いに審級を行っていることによって、表面的にはある閾値を越えずに事物が動いているだけなのかもしれないが。


こういった文脈において、コミュニケーションとは、

イ.無際限かもしれない/無際限であろう世界のうちで、

ロ.有限さをもって無際限さの断片を描こうとするある生命から、

ハ.同様に、有限さをもって無際限さの断片を描こうとするある生命、ではないかと感じられるものへの、

ニ.どのように扱われるか分からないが、投函してみた手紙

のようなものになるのかもしれない。手紙や投函の例は不適切かもしれないが、いまパッと浮かんだのはそれだったのでそう書いておく。もし第三者的立場からこれが語れるなら、コミュニケーションとは、互いに相手は無際限かもしれないもの同士が、互いという無際限さかもしれないものに向けて投企するやりとりなのだろう。

日々


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