2016年11月18日 - 80

土について その2(花が咲く場所について)

例えば俺がマグカップの中のコーヒーと思っているものは、実際は白い器の形の何かのなかの、透明で茶色の熱い液状の何かだったりする。それは振るとちゃぷちゃぷいうし、飲むとちょい苦い。

みたいに、俺が「マグカップ」とか「コーヒー」とかいってる名詞的な認識と、それの実体としての「白い」「器の形」の『何か』とか「透明で茶色」「熱い」「液状」の『何か』という、いえば(『何か』ってのはおいといて)動詞や形容詞で出来ているような世界がある(形容動詞がどうなのかとかそういう日本語文法的なのは知らん)。

いえば、俺が世界を認識するのは名詞的な世界観ぽくなってるとしても、実体の世界は別に名詞的な区切りを持っておらず、ただ動詞的だったり形容詞的だったりするものが寄せ集まっているのでないかと思う。ちょい極端な見方かもだけど。

あるいは先ほどまで熱かったコーヒーが冷めるように、生きていたものが死ぬように、別々だったものがくっついたりまた離れたりするように、実体の世界というのは移り変わり続け、名詞的な区分を崩していくというか。

先に書いた、ポジティブとネガティブが分かれる前の、認識の土といういいかたをするなら、認識の土がある場所で起きてるのは、いえば名詞的なやり方を用いた価値判断が行われていない、動詞的や形容詞的な世界のありようともいえるんじゃないかと思う※1(ちょっと違うかもだけど、まあ今はこの辺について書きたいから書いておく)。

例えば葉っぱが朽ちる時、それは徐々に乾いて欠けて砕けていくんだろうが、そこには「葉っぱなるもの」が崩れて「土なるもの」になる、という間の全ての無数の中間領域があり、それらは名を持たず、ただその現象/ありようがそこにある。

※1:ところで、上に書いたような見方が実際起きているとすると、生き物は、動詞的とか形容詞的な実体世界から、どういう風にか情報を折り畳んで名詞的な認識世界を立ち現れさせている、のではないかと思う。

話は変わるようだが、情報伝達にはざっくり分けて2つのタイプがあるように思える。

一つは可燃物を熱したらそのまま発火するようなタイプ。そんなん情報伝達なのかって思われそうだが、例えば神経伝達物質による単純な情報伝達はそのようなタイプだと思っている(神経生理は知らんので違ったらすまん)。いえば、ある伝達物質を受容したら、それが起こすような活動がそのまま励起するようなタイプ。もう一つは、情報が一度名詞的な世界に位置付けられ、いえば意味のマップ※2に乗せられ、そこでその情報はどういったものかという判断/マッピングが行われ、その結果をベースに実際の動作が起きるようなタイプ。

※2:そこに「自己」という情報もマッピングされ得るような自己言及的なとこがあるマップ。

前者は情報が即時に現象につながるが、後者は一度意味のマップ上でその情報がどこにマッピングされるか処理されてから、その解釈結果をベースに行動が起きる。いえば前者は実体的な動作で、後者は名詞的な認識世界における重みづけを経た動作になる。

それで、例えば実体としての花が咲いたりするのって、けして意味のマップの上でではないと思う※3。それは実体としての情報交換(受粉を中心とした諸々のプロセス)があり、そして咲くように俺には思える。今の俺的にいうと、それは認識の土の上で、名詞的な認識と関わりなく起きるように思える。あるいは意味のマップの上で「花」なるものが「咲こうと」「咲くまい」と実体としての花には関係なくて、花はそれが咲くときに、それが咲くように咲くというか。

※3:話は変わるかもだが、世界の半分を好み、半分を忌避して出来たようなマップはそもそも世界を妥当に映しているとは思えん。ただほとんどの場合、マップというのはそういったバイアスを掛けられて構成されてるだろうと思う。

俺的にはだけど、意味のマップから切り離された場所でも起こる感覚、感情てのは大事にしたい。意味のマップの後ろ盾や理由付けがなくても、認識の土の上にいて起きる感情のありようは感じられる(と思ってる)し、俺はそういうのが好きだ。

それと、まだ自分でもちゃんと分かれてない感じだけど、意味のマップから切り離された場所で起きることってのはどういう風に起きてるのか、というのが自分なりに分かるようであればいいなと思っている。まだ全然分かるようでないけど、ポジティブやネガティブが生じる場所での出来事を、変な形で意味のマップ(or名詞的な認識世界の価値観)を持ち込むことなく、感じたり触れたり出来たら、それがいい感じに出来るんじゃないかと思っている。分かるっていうよりも、ああこうか、こういうものかって伝わってくるって感じかもしれんけどな。

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