2017年8月12日 - 80

ベイトソン読み返し(精神と自然) その3

■「Ⅲ.重なりとしての世界」について

〇「ケース1―差異」のところでベイトソンは「(差異を生まれさせる)物それ自体」について少し触れている。これをもっと掘り下げて欲しかった。。。!!そこら辺に、同一性も差異も、それらの隠蔽や誤謬やすり替えもあるのでは、という気がしてならねーだ。後で扱うとあるので、そこでもっかい取り上げると思います。

〇「ケース2―両眼視覚」は素晴らしい。本当に素晴らしい。これで感度が向上し、(奥行きの)情報が追加される、というところに非常に多くのものがあると思う。例えば幻想も含めて。俺の意見では、ここにおいて、少なくとも奥行きとは与えられた情報ベクトルの積であり、その意味で与えられていない幻想なのだ。そしてそれは認識において極めて大きな意味を持つ。というか、そのような幻想なしには高度な認識の多くは成り立たないのではないのか??

〇「ケース5―まぼろしの短剣」もいいすよね。上記ケース2と同じく、高度な認識において幻想、メタ情報、が、果たす役割のイントロダクションになっている。この入り方は俺はすごく好きだ。「ケース6―異句表現」もある意味同様だが、こちらはもう少し深い世界を描いてる気もする。それらはベイトソンにいわせれば「すべて『結ばれ合うパターン』の世界なのだ」となるかもだが。そしてまた「ケース8―うなりとモアレ」は、これらや両眼視覚が分解出来るという事、いえば、与えられた合成物から、合成の元となったベクトルを推定できるという事、という話にもなっている。これは個人的にはとてもグレート。もし合成物しか与えられてなくても、合成の元となったベクトルを推定できるという事は、全ての情報から「(俺らにとって)隠されたもの」が推定できる、という話だと俺は思う。これは重要な事だ。またソナーの例えもいいと思う。俺らにとって隠されてしか見えないもの(例えば心と呼ばれるもの)を、俺らがどのように推定しているのか、想像しているのか、という話にも、俺には感じられる。

〇「ケース7―二つの性」も素晴らしい。この部分にあるのは本の後半につながる記述だが、つながりの中の世界の姿が簡潔に描かれている。「配偶子の融合は個体の偏差を抑えつつ、同時に遺伝子の組み合わせが自由に変化していくことを保証しているのである」はグレート。ただしこの辺りから、少し、過度に抽象的な雰囲気になる印象もある。理論面ばかりが勝っている感じがするというか。「ケース9―記述・トートロジー・説明」も本の後半につながる記述って感じだ。ちなみに睡眠素の話は面白いというか、こういうの多いよなって感じw

〇まとめ的な部分のこのチャプタの白眉がある。「寄せ集めた(情報の)全体が部分の和より大きくなるのは、部分の組み合わせが単なる加法ではなく、乗除ないし論理積の形成に似た性格をもつからである」。ところで一つ疑問なのは、この論理積はどこに形成されるのだろうか、って事だ。それは素材としての情報個々の間なのだろうか、それとも情報を集めた何者かのアタマの中なのだろうか。ところでまた最後の表現もいい。「生物界、生成の世界全体を織りなす広大な知の織り物」という表現に、ベイトソンが感じ、見てきた世界が伝わってくるようだ。

メモ / 日々


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です